教員の研究活動
最近の教員研究活動や業績
岡田 陽介 Yosuke Okada
2022.10.18現在
1.研究業績
河村和徳・岡田陽介・横山智哉『東日本大震災からの復興過程と住民意識―民主制下における復旧・復興の課題』(共編著、木鐸社)
2.公刊・掲載実績
2021年10月刊行
3.研究内容の概要
東日本大震災による被害は全国各地で多く発生しました。建物が壊れたりするなどの客観的な被害は時間とともに解消されていく側面があります。しかしながら、大震災から10年以上を経た今でも、自身を「被災者」と感じる人はまだまだ多くいます。そうした人々は「政治」に対して、様々なニーズを訴えかけ続けています。それに対して、「政治」は充分な対応をできたのでしょうか。第4章では、まだ多く存在する「被災者」が、「政治」の対応に対する不信感によって、政治参加の手段を用いて、政治への入力すら行わなくなってしまっていることを福島県民を対象とした調査の分析から明らかにしました。そして、それは大震災だけでなく、その後、福島県を襲った台風の被害でも同様のことが生じていたことも明らかにしました。
また、大震災の後、10年に渡って、「震災追悼式」が継続して実施されたり、後世のために「震災遺構」を遺そうとする様々な活動も行われてきました。大震災を忘れないために、「震災追悼式」や「震災遺構」は必要な式典であり、残すべき遺構として捉えられます。しかしながら、それらは必ずしも地域住民の総意ではありません。式典や遺構を通じて「後世に伝えるべきだ」と思う人もいれば、「辛い記憶を忘れたい」(だから、式典や遺構を目にしたくない)と思う人もいます。第12章では、実は被災地福島県では、そうした両者の対立が、いまなお存在していることも明らかにしました。
また、大震災の後、10年に渡って、「震災追悼式」が継続して実施されたり、後世のために「震災遺構」を遺そうとする様々な活動も行われてきました。大震災を忘れないために、「震災追悼式」や「震災遺構」は必要な式典であり、残すべき遺構として捉えられます。しかしながら、それらは必ずしも地域住民の総意ではありません。式典や遺構を通じて「後世に伝えるべきだ」と思う人もいれば、「辛い記憶を忘れたい」(だから、式典や遺構を目にしたくない)と思う人もいます。第12章では、実は被災地福島県では、そうした両者の対立が、いまなお存在していることも明らかにしました。
1.研究業績
岡田陽介「政治家の『声』を有権者はどう聞いているか?―声質と信頼感・投票行動との関係 党首と選挙候補者の声を収集・分析して見えてきたものとは」『論座』
2.公刊・掲載実績
3.研究内容の概要
政治において「声」は、考えや意見の比喩として用いられます。「政治家が国民の『声』に寄り添う」や「国民の『声』を政治に届ける」などがその例ですが、こうした比喩としての「声」ではなく、政治家が発する声の高低(周波数)に焦点を当て、研究を行ってきました。これまでの研究内容を整理したものを『論座』に寄稿しました。
研究では、政治家の声を収集し、音声を用いた実験や、測定した声の周波数と選挙での得票率との関連を分析しました。その結果、政治家のうち、党首レベルでは印象形成や投票選択に一定程度影響を及ぼすものの、選挙区の候補者レベルではあまり影響がないことが明らかになりました。
以上の結果から、党首レベルであれば、テレビやインターネットの動画配信などを通じて声を聞く機会も多いが、選挙区レベルでは必ずしも政治家(候補者)の声を聞いておらず、政治家、とりわけ選挙区の候補者と有権者との間でコミュニケーションが断絶している可能性を指摘しました。
研究では、政治家の声を収集し、音声を用いた実験や、測定した声の周波数と選挙での得票率との関連を分析しました。その結果、政治家のうち、党首レベルでは印象形成や投票選択に一定程度影響を及ぼすものの、選挙区の候補者レベルではあまり影響がないことが明らかになりました。
以上の結果から、党首レベルであれば、テレビやインターネットの動画配信などを通じて声を聞く機会も多いが、選挙区レベルでは必ずしも政治家(候補者)の声を聞いておらず、政治家、とりわけ選挙区の候補者と有権者との間でコミュニケーションが断絶している可能性を指摘しました。
白石 浩介 Kosuke Shiraishi
2022.2.16現在
1.研究業績
論文Shiraishi, K.(2022) "Determinants of VAT pass-through under imperfect competition: Evidence from Japan” Japan & The World Economy, vol.61, Elsevier.
2.公刊・掲載実績
発表:2022年2月
3.研究内容の概要
研究論文が国際的学術誌である、『Japan & The World Economy』(経済学分野TOP200にランクイン)に掲載されました。研究の着想から学会報告までは、半年程度と速いテンポで進みましたが、そこからが大変であり、3回にわたる大改変と1年以上の時間をかけてようやく公刊に至りました。
この論文では、日本の消費税の転嫁が商品ごとに異なることと、その原因について2014年の消費増税を対象として実証研究をしています。従来にないユニークなデータを駆使して、税転嫁の要
この論文では、日本の消費税の転嫁が商品ごとに異なることと、その原因について2014年の消費増税を対象として実証研究をしています。従来にないユニークなデータを駆使して、税転嫁の要
税の転嫁は、経済学では古くからのテーマですが、21世紀に入ってからも研究が進められています。とくに消費税が注目分野です。この背景には1990年代までに、ほぼ全世界の国々において消費税が普及したこと、そして2020年のコロナ禍でも見られましたが、景気対策などのために消費税を増減税する事例が増えていることが挙げられます。
日本では2019年10月の消費増税において、はじめて食料品に軽減税率が導入されました。新しい政策にはエビデンスベースの評価が求められます。そして日本の学術研究を、広く世界に発信する必要があります。すでに今回の研究をさらに発展させるべく、共同研究プロジェクトを本学内に発足させ、精力的に研究を推進しております。
日本では2019年10月の消費増税において、はじめて食料品に軽減税率が導入されました。新しい政策にはエビデンスベースの評価が求められます。そして日本の学術研究を、広く世界に発信する必要があります。すでに今回の研究をさらに発展させるべく、共同研究プロジェクトを本学内に発足させ、精力的に研究を推進しております。
丹野 忠晋 Tadanobu Tannno
2021.10.21現在
1.研究業績
論文「Ikeda, Tanno, & Yasaki (2021) "Optimal Intellectual Property Rights Policy by an Importing Country." Economics Letters, forthcoming.」
※日本語訳「輸入国の最適知的財産権政策」
※日本語訳「輸入国の最適知的財産権政策」
2.公刊・掲載実績
発表:2021年10月
3.研究内容の概要
このたび、研究論文が経済学で著名な学術誌のひとつである、『Economics Letters』誌に受理されました。今回は投稿してから2ヶ月弱で掲載が許可されるという異例の速さで、すでに論文は出版社のwebサイトで見ることができます。 この研究は知的財産権制度がイノベーションをどのように促進するかを探求しています。昨年、同種の研究論文により、日本応用経済学会より2019年度日本応用経済学会学術論文賞を受賞しました。 今回の論文では、昨年の研究をさらに発展させて発展途上国を想定した輸入国の消費者の望ましさから考察を加えました。
例えば、コピーを禁止する政策がどのようにその国に輸出する企業のイノベーションに影響を与えるかを経済学的に明らかにしています。 イノベーションを行う企業がいない輸入国においては、他企業に発明を模倣させて多くの生産物を輸入した方が消費者の満足度を高めるように見えます。 しかし、そのような考えは間違っています。輸入国の政府は模倣をある程度抑えることによって企業のイノベーション意欲を刺激してより投資を行うようになり、輸入国の消費者を望ましい方向に導くことができるのです。 この2つの論文のように学者の研究は一つの研究成果が出るとそれに基づいて次の研究を発展させていきます。現在、これら研究を基礎にして競争がイノベーションをどのように刺激するかを分析しています。新しい研究も今回の研究と同レベル以上の学術専門誌に掲載できるよう取り組んでいます。
高橋 大輔 Daisuke Takahashi
2021.10.20現在
1.研究業績
(1)Conditions for Collective Land Use by Community Farming: Case Study of Six Prefectures in the Hokuriku and Kinki Regions of Japan(Daisuke Takahashi, Takeshi Fujie and Tetsuji Senda)
2.公刊・掲載実績
International Conference of Agricultural Economists 2021(ICAE2021)にて口頭報告[2021年8月25日]
3.研究内容の概要
農業経済学分野で最大規模の研究大会である国際農業経済学会(オンライン開催)にて、研究の口頭報告を行いました。私の報告は、邦題では「集落営農による集団的農地利用の成立条件:北陸・近畿6県の事例」というもので、集落単位での集団的な営農が成立する条件について、世界農林業センサスの個票データを用いて分析したものです。深夜にビデオ会議で研究発表をするのは不思議な体験でしたが、大会参加者からはコロナ渦においても学術研究を進める意思を感じました。