FACULTY OF POLITICAL SCIENCE AND ECONOMICS
政経学部NEWS

浅野ゼミナール 早稲田大学との合同ゼミ論発表会

2019.12.17(火)
ゼミ  
第8回 田中・遠藤・浅野ゼミ合同ゼミ論発表会の記念写真第8回 田中・遠藤・浅野ゼミ合同ゼミ論発表会の記念写真
参加者の皆さん参加者の皆さん
2019年12月4日、拓殖大学E館407号室で、早稲田大学と拓殖大学による合同ゼミ発表会を実施しました。早稲田大学からは田中愛治ゼミ(政治経済学部教授・早大総長)と遠藤晶久ゼミ(社会科学部准教授)、拓殖大学からは浅野正彦ゼミの3つのゼミが参加しました。
この合同ゼミは2012年から始まり、今年で8回目となりました。どの論文もレベルが高く、充実した内容となりました。先輩方の様々な論文発表を聞き、「説得力のある発表とは」ということを考える良い機会を得ることができました。


今年度は拓殖大学から2本、早稲田大学から2本の計4本の論文が発表されました。
各論文のタイトル、発表者、論文の概要は以下の通りです。

拓殖大学

「2019年参議院選挙における候補者の女性度と得票率の差」
発表者:菅原晟也(政経学部経済学科4年)

発表中の菅原晟也さん発表中の菅原晟也さん
【論文の概要】
本論では、女性らしさや男性らしさが得票率に影響があるかどうかを検証している。女性らしさや男性らしさを測る指標として、ZETABRIDGE社が提供している「フォトナビ・顔診断」を使用し、候補者の顔のパーツの作りから、「男っぽさ」または「女性っぽさ」を-5~5までの11段階評価を行い、女性度数を算出した。
 先行研究では、女性らしさを強調している候補者ほど得票率が、低いと述べられていることから中性的な候補者ほど票を得やすいという理論を立てて実証分析を行った。
 その結果、定数が1の選挙区では女性らしい容貌の候補者ほど、得票率が下がるという結果が得られた。課題としては、女性度数を測る基準が明確ではないことが挙げられた。

「町村議会のなり手不足の要因分析」
発表者:堀井颯人(政経学部法律政治学科3年)

発表中の堀井颯人さん発表中の堀井颯人さん
【論文の概要】
 現在、日本の地方選挙において候補者の無投票当選が増えており、地方議員のなり手不足が問題となっている。本論文では、なり手不足の主な要因は議員報酬の差にあるのではないかと予想し、分析を行っている。分析の結果として、議員報酬を増やせば議員のなり手不足の解消の一助となることや、平成の大合併を経験した自治体でもなり手不足が発生していることが分かった。

早稲田大学

「期日前投票の特徴」
発表者:阿部隼人(社会科学部社会学科3年)
伊東秀晃(社会科学部社会学科3年)

発表中の阿部さんと伊東さん発表中の阿部さんと伊東さん
【論文の概要】
 近年、期日前投票の利用率が高まっており、2017年の衆院選では20%もの人が、期日前投票を利用しているということが明らかになった。
 仮説として、①職業の関係性②政治への興味③投票所までの距離を先行研究も踏まえて、期日前投票に大きく関係していると判断し、分析を行った。
 分析の結果、投票に行った人の中で期日前投票を利用しやすくする要素は家から投票所までの距離のみであり、職業・政治への興味は投票率に関係があるが、期日前投票率には関係がないことが明らかとなった。また、就業者に限定して分析を行ったところ、第一次産業就業者が多い地域ほど期日前投票を利用することが多く、一方で第三次産業就業者が多い地域ほど期日前投票を利用することが少ないということが明らかになった。第二次産業就業者と期日前投票の相関は見られなかった。
 期日前投票所が多い地域ほど、期日前投票の利用は多くなる。しかし、前年度と比べて期日前投票所が増減しているからといって、有権者の期日前投票利用率に変動は見られない。つまり、期日前投票所の増減が期日前投票の利用に影響を与えていないことが明らかになった。

「選挙公約の計量分析」
発表者:横道弘吉(政治経済学部国際政治経済学科4年)

発表中の横道さん発表中の横道さん
【論文の概要】
本研究では第23回参議院通常選挙の小選挙区における選挙公約を対象に、①重回帰分析②クラスター分析③主成分分析を行った。
それぞれに分析において以下の、知見を得ることができた。①重回帰分析においては、その他の独立変数を統制したうえで、選挙公約上の選挙区名や選挙区に属する市町村名などの出現回数が、5%の有意水準で得票率を上昇させる効果を持つことを示した。②クラスター分析においては、選挙公約上の名詞の出現回数を変数として分析を行い、候補者を⑴共産党などの候補者によって構成されるクラスター⑵民主党、みんなの党、維新の党などの候補者によって構成されるクラスター⑶自民党、民主党などの候補者によって構成されるクラスターの3つに分類した。③主成分分析においても、選挙公約上の名詞の出現回数を変数として分析を行い、第一主成分を「与党」-「野党」の政策対立軸、第二主成分を「個別」-「全体」の政策対立軸と解釈し、2軸上に各候補者の政策位置を示した。加えて、主成分分析においては、自民党と共産党の候補者は政策の凝集性が高いことが示された。
(文責:政経学部法律政治学科 2年長田あさひ)

参加者から寄せられたコメント

・拓殖大学 政経学部法律政治学科1年 北田 貴大
初めての合同ゼミへの参加で少し緊張もありましたが、先輩方の研究はとても興味深く、発表もすごく工夫されていたので、計量政治学への興味が深まり、これからのゼミで活動できることが楽しみになりました。
 
 
・拓殖大学 政経学部経済学科2年 森 克弥
今回早稲田大学との合同ゼミに、初めて参加しました。先輩方の研究内容にやや難しさを感じると共に、研究に対する意欲も湧いてくる発表でした。また、他大学の学生が真剣に取り組んでいる姿にとても刺激されました。
 
 
・拓殖大学 政経学部法律政治学科3年 関 駿介
今回早稲田大学との合同ゼミを通して感じたことは、早稲田の学生はやはり凄いなと思ったのと同時に、拓殖大学も負けてないと感じました。これまで私たちが1年間かけてやってきたものが、この合同ゼミを通して成果を見せることができたと思います。こういった貴重な経験をさせて下さった、浅野先生をはじめ、早稲田大学の方達に感謝したいです。